書籍の紹介
マインドフルネスを実践することで、脳が物理的にどのように変化していくのか。
脳科学者の茂木健一郎が、日常生活で実践できるノウハウを紹介。
マインドフルネスによって、いかに幸せに生きられるかを考える。
マインドフルネスとは何か?
「マインドフルネス」とは、「逆輸入された禅」と称されるように、日本仏教の禅を思想の基盤にしている。
中世インドのパーリ語で「サティ」
これを英語に訳すと「マインドフルネス」となり、日本語にすると「気づき」などと訳される。
Google社、Apple社、Facebook社など、アメリカを中心とした一流企業が社内研修に取り入れたことから注目を集めた。
マインドフルネスとは、自分の中や、周囲で起きていることを判断しないで、ただ受け入れること。
マインドフルネスの実践
言葉として理解できても、感覚として理解するのが難しいマインドフルネス。
ですが、瞑想は特別な道具は必要ないので、気軽に始めることができます。
また、心を心でコントロールするのは難しいですが、身体を通して心をコントロールするのは思ったより簡単です。
茂木氏は、おもに歩行瞑想とランニングを日常に取り入れているようで、本の中で詳しく紹介しています。
歩行瞑想
歩行瞑想は、自分のよく知っている場所(通勤までの道のりなど)をひたすら無の境地でぼーっと歩くことです。
誰かとおしゃべりをせず、音楽も聞かず、考え事をせずに、心地よいペースで頭がからっぽになるまで歩きます。
何もしない状態を作る事で、脳がメンテナンスを始めてマインドフルネス状態になるのだそうです。
ランニング
この本では「瞑想ランニング」と「旅ラン」に分けて解説していました。
「瞑想ランニング」とは、歩行瞑想と同じく、自分がよく知っている場所を走ります。
周りの景色に気を取られずに、自分の内面に向き合いやすい環境にすることで、マインドフルネス状態をつくります。
「旅ラン」とは、観光を兼ねて知らない場所を走ります。
好奇心が満たされることにより、ドーパミンが出て脳が活性化されるようです。
「旅ラン」で新しい情報をインプットし、「瞑想ランニング」では、思考の分類・整理・解釈をします。
マインドフルネスがもたらしてくれるもの
- 瞑想によって思考がクリアになることで創造性が高まり、クリエイティブな発想が浮びやすくなる。
- ネガティブな考え方のクセから抜け出し、ストレスが軽減される。
- 思考や感情をありのままに受け入れることによって、情緒が安定して人間関係が良くなる。
「今、ここ」の瞬間が幸せで楽しい、と思うことの積み重ねによって人の幸せは形成されている。
つまり、結果は伴わなくとも、将来の目標に向かって努力しているプロセスを楽しむことで、幸せだと感じることができる。
日本人の多くは、楽しい思いなんてしたらいけない、目標を達成するためには全てを捧げ、苦労や苦悩を抱えなければいけないと考える人が多い。
しかし、不思議なことに努力そのものを楽しむ人の方が、結果が伴う確率は高いのだとか。
感想
たしかに日本人の傾向として、自己犠牲の考えがはびこっていると思います。
もっと日本にマインドフルネスが浸透したら、より楽しく、自由な発想で仕事に取り組めそうですね。
私に関していえば、自分の好きなヨガを仕事にしています。
仕事は「楽しい」けれども、決して「楽」ではありません。
もしかすると、この違いを混同している方が多いのかもしれませんね。
本の中では、余計なことを考えない静かな集中、新しい刺激のワクワク感・高揚感からくる集中、一見矛盾するような例を上げています。
マインドフルネスは「今、ここ」に集中すること。
つまり、どちらもマインドフルになる要素があるという解説がされていて、とても腑に落ちました。
書籍情報
書籍名 脳を鍛える茂木式 マインドフルネス
出版日 2017/06/20
著者 茂木健一郎
出版社 株式会社世界文化社