ヨガの八支則 アシュタンガヨガ 前編

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アシュタンガの語源

サンスクリット語で、Astau(アシュ)「8」+ tanga(タンガ)「支則・枝・部門」

8つの枝に分かれる、八支則といった意味になります。

英語表記だと「eight limbs」です。

アシュタンガは、ヨガのゴールに向かうためのステップが八段階ありますよという教えです。

そして、そのゴールに向かうための手段には「4つの道」があります。

アシュタンガヨガは、4つの道のひとつである「ラージャヨガ」のアプローチ方法となります。

注意

ちなみに、太陽礼拝などの決められたポーズを順番に行っていくヨガの正式名称は「Ashtanga Vinyasa Yoga」(アシュタンガ・ビンヤーサ・ヨガ)と言います。

アサナ(ポーズ)のみ=アシュタンガ・ビンヤーサ・ヨガです。

ここで解説するのは、精神的なアプローチ方法であるアシュタンガヨガなので、アシュタンガ・ビンヤーサ・ヨガとは別物です。

超ややこしい

ヨーガ・スートラ

約3000年前の古い時代、インドの聖人パタンジャリさんが書いたとされるヨガの教科書「ヨーガ・スートラ」

当時はパタンジャリという筆者の名前をあえて書かなかったそうです。

あくまで本の内容が重要だと思っていたので、「この人は有名だから」などという先入観で手にとってほしくないと考えていたようです。

パタンジャリはインド各地を旅してはヨガに関する情報を集めて研究していたのですが、その道中いろんな人に助けられ、ありがたい教えを説いていたんだとか。

それを聞いた、いわばお弟子さん達が、言葉ひとつひとつ糸を紡ぐようにまとめて完成させたのが現代の「ヨーガ・スートラ」です。

直訳で、Sutra(スートラ)には「糸」「詩」という意味があります。

Yama(ヤマ)社会と関わっていくための道徳

ヤマは、相手に対してやってはいけないことという意味です。

第一のステップ「ヤマ」には5つの練習法があります。

Ahimsa(アヒムサ)「非暴力」

相手に対して優しく接することです。他者を殴ったり蹴ったり暴力を振るわないことや、動物や虫などの生き物を殺さないこと、さらに言葉で罵ることも暴力として考えます。

Satya(サティヤ)「嘘をつかない」

相手をだまして嘘をつかないこと、自分が利益を得るために相手を誘導しないことです。

Asteya(アステーヤ)「盗まない」

物を盗んだりしないこと、相手の時間を盗まないことです。

待ち合わせにいつも遅刻する人っていますよね。(わたしかw)

Brahmacharya(ブラフマチャリヤ)「感性のコントロール」

異性と性的な関係を持たないことです。無駄にエネルギーを散々しないという教えです。

Aparigraha(アパリグラハ)「欲張らないこと」

欲望のまま必要以上の持ち物を所有すると、失うことが怖くなり執着心も湧いてきます。

仕事のポジションを譲ることだったり、スイーツビュッフェでお皿に盛りすぎないことだったり(笑)

相手に譲ることや、与えることが大切なんですね。

②Niyama(二ヤマ)自分自身がどうやって生きていくか

第二ステップ「二ヤマ」にも5つの練習法があります。

自分自身との関係をより良く保つために必要なことです。

Saucha(シャウチャ)「清潔」

お風呂に入ったりシャワーを浴びて、身体を綺麗に洗うことです。

なかには、ヨガのプラクティスの前にシャワーを浴びなければ入室できない厳格なヨガアシュラムもあるそうです。

身体を清めて練習に臨むという心持ちを大切にしているのだと思います。

また、ヨガマットなど自分の持ち物を整理整頓してきれいに扱うことも大切です。

Santosha(サントーシャ)「幸せでいること」

自分の置かれている環境だったり、健康な心身に感謝をして、自分はすでに満たされているのだと感じることです。

Tapas(タパス)「甘えない」

自分を甘やかさず、厳格さを持って自分自身を成長させることです。

Svadhyaya(スワディヤーヤ)「自分自身を理解するための勉強」

知識や智慧を身につけるために、聖典などの本を読むこと、声に出してマントラ(お経のようなもの)を唱えたりします。

Ishvarapranidhana(イーシュワラ プラニダーナ)「エゴを持たない」

直訳すると神を信仰するという意味ですが、ヨガは信仰する宗派を選ばずに誰でも実践することができるものです。

自分の力でどうにも出来ないことや、人知を超えたものに対しての敬意を払うことで恩恵を受けることができるという教えです。