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特例子会社
特例子会社って何?
特例子会社とは、分かりやすくいえば「障害者だけ」の会社です。
「親」会社があり、そのグループ企業のようなカタチで「子」会社があります。親会社の子どもである特例子会社は、上司以外働いている人はみんな障害者です。
特例子会社は障害者だけの会社なので、みんな障害者雇用で採用されています。
健常者と障害者が一緒の会社で働いているのではなく、特例子会社という独立した一つの会社です。
受け入れている障害の区分は会社によって違います。知的障害だけを受け入れている特例子会社もあれば、知的・身体・精神の全部の障害区分を受け入れている会社もあります。
なぜ、わざわざ障害者だけの会社をつくるのかと思いますよね?
そのカラクリが法定雇用率になります。
法定雇用率
すべての事業主は一定人数以上の従業員を雇っている場合、法律で決められた一定割合(=法定雇用率)以上の人数の障害者を雇用することが義務づけられている
ざっくりいうと43.5人以上の従業員数がいる民間企業は、障害者を雇わないと罰金を払わなければならないという制度です。(2021年3月現在)
100人以上の従業員を抱えた企業が法定雇用率を満たさない場合、不足1人あたりで毎月5万円の罰金を国に払うことになります。
そのため、たくさんの障害者を一括管理しやすいというメリットから、特例子会社を設立する会社が増えています。
私は地方にある特例子会社で働き始めて、まもなく1年になろうとしています。入れ替わりが激しいですが、身体が5人・精神が10人・上司(健常者)1人ほどが働いています。
これから障害者雇用のメリット・デメリットについて書いていきますが、あくまで発達障害を持っている私の主観なのでご了承ください。
障がい者雇用の良いところ
配慮点を伝えることで誤解を回避
「大学を出てるのにこんな仕事もできないのか」「こんな簡単な仕事でミスするなんて使えないやつだ」
障害をオープンにすると初めから相手の期待値が低いので、こんな風に「なんで出来ないんだ!」と、上司をイラつかせて居心地が悪くなるということがありません。
出来ない理由は、障害だから。
理由が分かれば理不尽に攻められたりしません。むしろ障害者なので「体調大丈夫?」と日頃から優しく接してくれます。
出来ないこと・配慮が必要なことはあらかじめ会社側にお伝えしているので、ミスを頻発させるような苦手な仕事を回避することができます。
上司から怒られないので、失敗を考え込んで眠れなくなるということがなくなりました。
発達障害は、見た目では障害だと気づかれにくいし、本人が頑張ればできてしまうこともあります。
満身創痍になりながらも環境に適応しようと頑張っている人が多いと思いますが、かなりストレスフルな状態ですよね。
障害者雇用では、自分をよく見せようと頑張らなくてもいいので、仕事においてのストレスはかなり減りました。
障がい者雇用の悪いところ
負の感情に引っ張られる
特例子会社だと自分以外の人も、みんな障害者です。
障害にも等級があるので、自分よりも重度の障害を持っている人がたくさんいます。
例えば、私の会社には精神疾患を理由に障害者手帳を取得して働いている人がたくさんいます。
しかし、言動を見ていると明らかに発達障害がベースにあって精神疾患を患っている、いわゆる『二次障害』の方が大半のように感じています。
なかには精神の区分だけど、軽度の知的障害か境界知能かなという人も数名います。
一方的に興味があることだけを話して意思疎通ができない人、距離感が分からずストーカーのように付きまとったり質問責めしてくる人、はたまた私が仕事で成果を上げると、目の前で私の悪口を楽しそうに話して足を引っ張ってくる人がいたりと…。
障害ゆえにこじらせている人が多く、メンタルが負の感情に引っ張られてしまいます。
上司はあくまで会社の上司なので、障害や福祉の専門知識があるわけではありません。
問題行動がある人に対して具体的な対処法がなく、会社側のフォロー体制はあまり整っているとはいえない状態です。
とにかく今までの常識では考えられない言動をする人がたくさんいるので、一般雇用とはまた違った対人関係の難しさやストレスがあります。
以前書いた、私の障害を逆手にとって意地悪してくるお局さんの記事はコチラです。

障害者雇用をメリットを最大限に活かすには?
担当の支援員を必ずつける!定着支援の必要性
対人関係のストレスで眠れなくなってしまったとき、配慮がだんだん無くなってきたときなど、何か困ったことがあれば自分の支援員を通して上司に伝えるようにしています。
支援員を通して困りごとを伝えるメリット
- 上司に直接言っても忙しさでごまかされてしまうことを防ぐ
- 支援員が伝えると本当に困っているんだという説得力が増す
- 自分で伝えると感情的になりすぎて角が立つのを避けられる
支援員から働く上での困りごとを伝えてもらうことができれば、会社側は何かしら対処をしてくれます。
支援員がついていない人の中では、「ハローワーク」「なかぽつ(障害者就業・生活支援センター)」の経由で採用されている人が多いです。
そのような人は働き始めてから定着支援がないので、何か不満がある度に会社でトラブルを起こしています。
上司にキレたり、にらみつけたり、突然泣いたり、会社を休みがちになったり、最終的には辞めてしまう人も多いです。
自分は悪くない、自分はできる、自分は大丈夫と思っていて、残念ながら周りに迷惑かけていることを自覚していません。
私は、支援員に仕事上の相談を定期的にすることで、自分の思考のクセを客観的に考えることができるようになりました。
困ったときの相談先例
- 卒業した就労移行支援事業所
- 卒業した就労継続支援A型
- 卒業した就労継続支援B型
- ハローワークのジョブコーチ
- なかぽつ(障害者就業・生活支援センター)の支援員
- 地域の生活相談員
- 発達障害者支援センター
- cotree等のオンラインカウンセリング
不満や困り事は必ず発生するので、相談先は複数あると尚いいです。