本の評価は、あくまで個人的な主観です。
- 「読みやすさ」飽きずに読み進められたか
- 「実用的」生活に取り入れたいと思う実践的な内容か
- 「心に染みる」心温まる、深く考えさせられるなど、感情に訴えかける内容か
目次
発達障害関連
ケーキの切れない非行少年たち 宮口幸治著
発達障害に「グレーゾーン」があるように、知的障害にも「境界知能」といって知的障害とまでは診断が下りないグレーゾーンがあることを知りました。
知的障害についてはあまり知識がなかったのですが、運転免許を所持して自衛隊で働いていた知的障害もいるとあり、かなり驚きました。
障害があるけど見た目は”普通”なので学校や職場で普通の人と同じレベルを求められてしまう苦しさとストレスは、発達障害を持つ自分の体験と重なる部分が大きくて読み進めるのが苦しくなりました。
発達障害や知的障害・境界知能を持つ子ども達が学校教育で障害と気づかれずに見逃されている問題があり、適切な支援を受けることが出来るのはごく一部の恵まれた人達という現状があります。周りに理解されず、社会に取り残されている人にスポットライトを当ててくれたこの本がベストセラーになってくれて嬉しく思います。
獄窓記 山本譲二著
獄中生活のノンフィクション作品で、過去にドラマ化もされているようです。
私はこの本の中で、障害者達が刑務所に入るまでのエピソードがとても印象的でした。収容されている障害者たちが、その障害ゆえ人に騙されやすかったり、想像力が乏しく思考が短絡的だったり、犯罪の背景には少なからず障害の影響があったのではと考えさせられました。
もし障害者にきちんとした支援が行き届いて孤立を避けられていれば、たくさんの犯罪を防げるのではないかと思います。
山本さんは、障害者のお世話係を担当したことや恩人の影響で、その後は福祉関係のお仕事でご活躍されているとのことです。感情が凝縮されいて重苦しい場面もありますが、読んでよかったおすすめの本です。
発達障害と少年犯罪 田淵俊彦著
発達障害傾向の児童が、虐待を受けると犯罪に手を染めやすくなるという趣旨でした。
目を背けたくなるような重たいテーマなのですが、早期発見・早期療育の重要性を改めて感じました。
発達障害児は手がかかるうえ、周囲と同じに出来ないことが多く、親や先生から虐待を受ける可能性が極めて高いと言えそうです。負の連鎖を断ち切るためにも、本を読んで知識を蓄えることは大切だと思いました。
アスペルガー症候群のある子どものための新キャリア教育 本田秀夫著
3人のASD特性を持った青年を例に様々なケースを紹介しています。
同じ診断名でも、環境や性格などによって特性の表れ方に違いが出ることを改めて実感できました。
また、「勉強ができればなんとかなる」という価値観は、社会に出てからつまずく可能性が高いということは、身をもって実感しています。何より二次障害を引き起こさないためにも、予防的介入・危機介入により、心の健康を保つことが最重要課題としています。とても読みやすく、勉強になるオススメの一冊です。
あなたの隣の発達障害 本田秀夫著
こちらは、家族や会社の上司など「他人視点」から発達障害を解説している本です。
第二章の『人生を左右する「育ち方」』は、発達障害の当事者が読んでも興味深いと感じました。特性に合わないことを強いられると、二次障害に苦しめられることは明白です。
早期発見・早期療育により「ソーシャルスキル」と「自律スキル」を学ぶこと、得意・不得意を自分で把握できるようになることは今後の自分を助けてくれます。
私は、それらのスキルを就労移行支援所で学んだのですが、大人になってからではなく、子どもの頃に早くサポートに繋がれたら良かったのに!と、今でも悔しい気持ちにさいなまれています(泣
発達障害の早期発見・早期療育・親支援 本田秀夫編著
「支援者」が、親や当事者をどのようにサポートしていくか、ということを視点に書かれています。
初版が2016年と少し古いですが、たくさんの研究データや文献が掲載されています。
より専門的に発達障害支援教育や特別支援教育の知識を身につけたいと考えている上級者向けです。
毒親の正体 水島広子著
水島先生の著書は大好きで色々な本を拝読していますが、これはかなりパンチのあるタイトルですね(汗
はじめは毒親について興味があったので手に取ったのですが、序盤から終盤まで「発達障害」を持つ親が毒親化しているケースがとても多く、「やはりそうだったか…」と、自分の両親を思い浮かべながらかなり合点がいきました。
毒親の元で育った子どもが、将来自分が毒親になるのではという不安から「子どもが欲しいと思えない」と思考する方に向けて心温まる対処法が記載されています。毒親に苦しめられた私が読み終わった感想としては、かなり癒される本でした。毒親に悩む人や、自分が毒親になっていないか不安な親にオススメの一冊です。
発達障害はなぜ誤診されるのか 岩波明著
内容は難しいので、ある程度精神疾患に知識がある方向けです。この本では、様々なタイプの症例を紹介しているので、「統合失調症と診断されているけど、もしかして誤診かも?」など発達障害かもと気づくきっかけになりそうなケースが満載なので、大変参考になると思います。
発達障害という根本的な原因があるのにもかかわらず、間違った病名を信じて通院し薬を飲んでも改善には繋がりません。
最近では、様々な書籍やネットのおかげで、医師よりも発達障害に詳しい一般の方が増えてきているそうです。
”現状の診察に満足できていない方は、ドクターショッピングもやむを得ない。時間はかかるかもしれないけど、信頼できる医師に出会えるだろう。”と書かれています。
おとめ六法 上谷さくら・岸本学著
発達障害のある女性は、相手の言葉を鵜呑みにしやすかったり、衝動的に取り返しのつかない行動を取ってしまいがちです。
性犯罪に巻き込まれないようにするのはもちろんですが、こういう行動をとるとトラブルに巻き込まれやすいんだなと想定しながら読み進められます。実際にトラブルになってしまった時の相談先も掲載されていますので、万が一に備えて持っておきたい一冊です。
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